SANBOH TOWN

コラム

  1. トップ
  2. コラム
  3. 中小食品製造業の経営者が知っておきたい!HACCP義務化が経営に与えるインパクト

中小食品製造業の経営者が知っておきたい!HACCP義務化が経営に与えるインパクト

  • 制度・助成金

「HACCP」の認証取得について、ついに今年(2018年)、改正食品衛生法の公布により、正式に義務化が決定しました。
これは、全国の食品製造業に関わる企業にとって大きな変化の一つです。

「ついに来てしまった・・・」「自社でも対応できるだろうか・・・?」

そんな不安や疑問を抱える中小食品製造業の経営者様も、決して少なくはないでしょう。

私は普段、経営コンサルタントとして、全国各地域に根ざす中小零細の給食会社様のご支援をさせていただいております。

地域、企業規模は様々ですが、HACCPを既に取得済みの企業様は、そのうち半分もいないのが実際です。

今回の義務化のターゲットは、もちろん、給食業だけではありません。

食品の製造・加工業者をはじめ、飲食店などの調理業や、スーパーなどの販売業も義務化の対象となります。

農林水産省の「食品製造業におけるHACCPの導入状況実態調査」という統計結果によると、現状での食品関連業者におけるHACCP導入率は「21.3%」。実に業界内の約8割の企業様が、今後、HACCP認証の取得等、変化を強いられることになります。

このハードルを越えるに当たって最も重要なこと。それは「HACCPとは何なのか?」をまず知ることです。

不明瞭でモヤモヤしたまま不安を抱えるのではなく、まず正しい認識を得ていただきたいと思います。

多くの中小企業経営者が持つ「HACCP」に対する間違った認識

そもそも「HACCP」とは何なのか?
「HACCP」とは、「HA」と「CCP」を組み合わせた言葉です。それぞれの意味は以下の通りです。

”H”azard ”A”nalysis(ハザード アナリシス=危害要因分析)
「PRP(一般的衛生管理点)」か「CCP(重要管理点)」かを分析。
原材料の受入や保管、加熱冷却などの各プロセスでどんなリスクの可能性があるか明らかにする
こと。

”C”ritical “C”ontrol “P”oint(クリティカル コントロール ポイント=重要管理点)
「ここだけは守らなければならない」という点を明らかにして予防する方法を考えること。

以上、横文字や定義が並ぶと何やら複雑に感じますが、要約すると、

「危険な所を見つけ出し」、「しっかり管理する」

ということなのです。

よく経営者様から、

「設備投資に多額な資金が必要になるのではないか?」
「自社の工場・調理場は古くて老朽化しているので、新しく建て直さないといけないか?」

というお声を聞きます。

しかし、これは厳密には誤りです。

HACCP認証工場というと、最新の設備が整っていたり、敷地も大きくて立派な工場・・・というイメージがあるかもしれません。

ですが、HACCPの本質は「設備論」ではなく「管理手法論」です。
最低限の改修等は必要です。ただし、あくまでも一般衛生管理が基本であり、日頃実施されている「衛生管理」を「見える化(目に見える形で記録・確認)」することが大事なのです。

認証取得にあたって、一定の投資は必要にはなりますが、それは必ずしも数千万円~数億円にも上るようなものではないということだけは、まず認識としてお持ちいただければと思います。

中小食品製造業の経営者が知っておきたい!HACCP義務化が経営に与えるインパクト

「HACCP認証取得」がもたらす経営へのインパクト

では、HACCPを取得できたとして、果たしてどのようなメリットがあるのか?

ただ義務として課せられ面倒事が増える、という訳ではありません。
むしろ、そこに今後の「ビジネスチャンス」があります。

一つの事例として、北陸地方で産業給食を営まれる企業様をご紹介させていただきます。
年商規模は10億円超。2008年にHACCPを取得し、運用し続けてきました。
リーマンショック等を経ても売上は毎年伸長し続けており、現在では売上、経常利益高ともに10年前当時の2倍近くにまで成長しています。

この企業様が、約10年間の「HACCP」実践の中で得られた効果は、大きく3つ。

  1. 売上増加
    ①元々の基幹事業であった弁当給食サービスの「シェア集中」が加速した
    ②大手企業からの「OEM案件」の受注や、公共施設案件の受注が得られた
    ③新しい高齢者市場開拓に向けた「新商品開発・展開」が出来た
  2. 収益性向上
    ①マニュアル整備、ルールの明確化等による「作業効率」の向上
    ②衛生管理力向上による工場多毛作化の実現=「稼働率」の向上
  3. 人材力向上
    ①仕組み化が進むことによって属人的な「職人芸」体制から脱却、組織の若返り化
    ②定期会議等を含む、従業員教育体制が整うことによる人材育成力、定着率向上

おそらく今後、食品関連業にまつわる事業者数は「減る」ことになります。
HACCP「非」認証企業にヒト・モノ・カネが集まりにくくなることが予想されるためです。

逆を言えば、HACCP認証企業にそういった、「資源」や「受注機会」が今後ますます集中していきます。

法律によって不可避に決定された「HACCP義務化」ではありますが、
今後も更なる成長を目指される前向きな経営者様には、ある意味「必要必然」と捉え、これからのビジネスチャンスに繋げていく契機としていただければと思います。

今後、HACCP認証の取得を検討・推進される経営者様に、低投資かつ業績アップに繋がるHACCP導入のコツをまとめた小冊子を用意しましたので、以下よりご覧ください。

株式会社船井総合研究所 フード支援部 シニアフードチーム
チームリーダー/マーケティングコンサルタント 吉澤恒明

SANBOH 販売管理