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【アドラー心理学活用による社員育成】~事例研究 金メダリスト小平奈緒選手の躍進から学ぶ私的アプローチ【詳細編】~

  • 人材育成・教育

前回は、アドラー心理学の概要について触れさせて頂きました。
人は誰でも劣等感を持っており、それを克服すべく優越性の追求を行っています。その方向性が正しいか間違っているかはその人の持つライフスタイルによって大きく異なり、人生そのものを変えていきます。意味ある人生を歩む為には、健全なライフスタイルに基づいて共同体感覚をもって他者への貢献を行う事が大切であるというお話しをさせて頂きました。
今回は、小平奈緒選手のソチの屈辱から平昌での栄光への飛躍について、アドラー心理学的に触れてみたいと思います。この章での小平選手に関する事は、言葉を除いて全て私の推測・推論に基づいたものですのであらかじめご承知おき下さい。

ソチでの屈辱までの小平選手

小平選手は1986年生まれで長野県茅野市の出身です。中学時代からスピードスケートの才能があり、進学高校に在学中にも数多くの大会に出場し優勝しています。高校卒業時には、教師になりたい夢とスケートのコーチで長野オリンピックの金メダリストの清水宏保選手を育てた結城匡啓監督がいる為に信州大学教育学部へ進学します。
しかしその後、2009年春の信州大学の卒業式が終わっても就職先は決まらず、企業訪問を続けていたそうです。 就職先の条件は、結城匡啓コーチの指導を長野県内で受けさせてくれる地元長野県の企業でしたがなかなか見つかりません。当時、多くの企業がリーマン・ショックの不況に苦しんでいた為です。
そんな時、スケートどころかスポーツ選手全般の育成などにほぼ無縁の相澤病院が救いの手を差し伸べてくれます。「長野の人が長野で五輪を目指したいと言っているのに、どうして長野の企業はできないの?みんなができないなら僕がやるよと」と言って支援を申し出てくれたのは相澤病院の相澤孝夫理事長でした。
当然のごとくスケート部はなく、小平選手の所属は「スポーツ障害予防治療センター」。大会前に病院で壮行会を開くと、患者たちが加わることもあるそうで、小平選手は職員として採用されサポートを受けることになります。
海外遠征の費用なども含めて相澤病院は徹底して小平選手をサポートします。小平選手もとても感謝していたようです。
その後、2010年にバンクーバー五輪が開催され、小平選手は500mで12位、1000m・1500mで5位入賞、団体パシュートでは何と銀メダルを獲得します。その時、帰国した小平選手は銀メダルを持って病棟を回って医師や看護師だけではなく患者さんにもお礼を言ってメダルを見せて回ったといいます。
「持っているパワーを伝えてくれて患者さんもすごく元気になった」と相澤理事長は喜んでその当時を振り返ります。
そうして迎えたのが2014年のソチオリンピックでした。今度こそ個人種目でメダルを!できれば金メダル!周囲の期待は日に日に高まっていったようです。
その当時の小平選手のライフスタイルは以下のようなものではなかったかと私は推測しています。

  • ・自己概念
    バンクーバー五輪で5位入賞 女子団体パシュート銀メダルを獲得
    4年たって実力的にまだまだ感はあるがやるべき事はやってきた メダルを取る力は充分にある
  • ・世界像
    強豪ぞろいの中でオランダ勢が圧倒している
    世話になった相澤病院の人たちはじめ周囲は、メダルを!できれば金メダルを期待している
    相澤病院の患者さんもみんな私に期待してくれている
  • ・自己理想
    何が何でもメダル できれば金メダルを取って帰る

小平選手は本音の部分としてはこの時は金メダルとれる実力はないと自分でも思っていたと思いますが、やはりみんなの期待が大きいので口にしなければいけない、そう思っていたのだと思います。

『表彰台の頂(一番高い所)からの景色を見てみたい』
(2014年ソチ五輪直前のインタビュー)

責任感の強い小平選手の事ですから、相当のプレッシャーと緊張感の重圧を感じていたことだと思います。
アドラーはこのようなライフスタイルについては否定的な見解を持っています。アドラー流にいうと、このライフスタイルの本質には2つの誤りがあります。その2つの誤りとは以下の2つです。

・優越コンプレックス
・承認欲求

優越コンプレックスとは、他者の期待に沿えるように、自分を優れているように見せようとすることです。自分の実力が金メダルを取るほどまで至っていない事を知りながら、金メダルを目指すという言葉を出して、自分を鼓舞していますが、実際には理想と現実のギャップを自ら拡大させてしまう悪影響があるのです。
承認欲求とは、他者から認められたい、褒められたいという欲求の事です。周囲の期待に応えたい観念もこの承認欲求に該当します。誰しも認められたい欲求はあります。責任感の強い人ほどその傾向は大きいでしょう。
しかし、他者の為に行動するという事は自分を見失いやすいと言うのです。
『われわれは、他者の期待を満たすために生きているのではない』
『他者からの承認を求め、その評価を中心にしていると、結果的には他者の人生を生きることになってしまう』
『他人の承認ばかりを優先する行動は、結果的に自分が本来やるべきこと(自分の人生課題)に没頭できなくなる』
前回、共同体感覚の三要素の一つとして、他者貢献について触れましたが、自分が努力することによって結果として他者貢献をするのと、他者の期待に応える為に一生懸命努力するのとでは本質部分では大きく異なるのです。
例えば、自分は医者の家に生まれた子で、将来は父親の経営するクリニックを継ぐことを期待された子供が、文学が好きで文学部の大学へ進学希望していたとします。
この子は親の期待に応えたい一心で、自分から文学部への進学をあきらめ医学部へ進学しようと決めたとします。これをアドラーは承認欲求という概念でとらえ、結果としてこの子は親の人生を生きていることになります。何かにつまづいたり失敗して後悔した場合、彼はきっと親の為に医者になった、本当は医者などになりたくなかったと親のせいにするようになるでしょう。これは親にとっても子にとっても非常に不幸な事なのです。
『人間は自分自身の人生を描く画家である どんな絵でも自分自身で引き受けねばならない』 アドラー心理学では承認欲求に抗いながらも、共同体に対して積極的にコミットしていくことこそが自由かつ幸福な生き方であるとしており、他者の為に努力するのと、自分の課題を克服するために努力して結果として他者貢献につながるのとでは大きく意味が異なるという立場を取っているのです。
小平選手は結果的にソチオリンピックでは、本人が屈辱と言っているように、500mで5位入賞、1000mでは13位に終わります。これでも充分立派な成績だと思いますが本人はこれを屈辱と言います。
この五輪のスピードスケートでは、オランダ勢が大活躍、金メダル8個を含む全体の7割ものメダルを獲得します。普通の選手であれば、失意とともに帰国して何が悪かったのだろう?何が原因でメダルを取れなかったのだろうとしばらく悩んだり、頭や体を休めたりしますが、小平選手はここから常人では考えられない行動に出ます。

ソチ後の小平選手の言動

アドラーの過去に関する見解は、前回も引用しましたが以下の通りです。
『人は過去に縛られているわけではない。あなたの描く未来があなたを規定しているのだ。
過去の原因は「解説」になっても「解決」にはならないだろう』
小平選手は、ソチ五輪の屈辱後のインタビューでこう言っています。
『ベストは尽くしたんですけど届かなくて……私にとってのスケートは“学び”なので、自分のレースを一生懸命やった後はしっかりと他の選手の滑りを学んで必ず超えたいなと思いました』
『悔しいのと、ベストを尽くしたというところで、何が足りなかったんだろう?オランダに行って、世界を見てきたい。本物を見てきたいって思いましたね』
(2014年2月ソチ冬季五輪終了後のインタビュー)
すぐさま彼女は行動を起こします。圧倒的な強さを誇ったオランダに単身で留学し、自分のスケートを根本から見直す決意をし、その2か月後には自分の思う通りの行動を実践します。
そして、スケート王国オランダに2年間拠点を置いてマリアンヌ・ティメル・コーチに教えを乞う。ティメルコーチは現役時代、1998年長野五輪で2冠、2006年トリノ五輪1000メートルでも金メダルの実力者です。小平選手が彼女をコーチに選んだのは、彼女の実績もさることながら、トリノ五輪で見せた「獣のようなまなざしの鋭さ」が、小平選手の印象に強く残っていた為と言われています。ソチで表彰台に上がれなかった自分に欠けていた、集中力の高め方と殺気や逆境に対抗する反発力など、メンタル面も含めて引退した元金メダリストから直接指導を受け、金メダリストの視線の先に何があるのかを学ぼうとしたのです。

小平奈緒選手の進化 技術面

ティメルコーチに付いた小平選手は、これまでの彼女のスケート人生の一切を捨て、ゼロからの出発を決意します。
ティメルコーチは小平選手の走りを見てこう指摘します。
『ここまでの前かがみは良くない。目指すは“BOZE KAT(怒った猫)”です』
これまで小平選手が行ってきた、できるだけ空気抵抗を少なくしようとして前かがみでのスケーティングを全否定しもっと上体を起こした怒った猫のような姿勢がスケートでは良いと言うのです。極端な前かがみは脚力が氷面に伝わりにくい。怒った猫程度の屈み方なら、足を大きく動かすことができ脚力が強く長く氷面に伝えることが可能だというのです。
すぐさまそのスケーティングを実践し練習に取り入れますが、すぐには成果が現れませんでした。しかし小平選手の求道者のごとき探求はその後も続いていきます。
数々の方法で自分のスケーティングを研究し、

・コーナーワークで力が落ちているのは体が傾いていることが原因
・コーナーでの体の傾きを矯正する為に骨盤の筋肉を鍛える事
・試合前、適度に骨盤周りの筋肉を刺激する為に、日本の伝統工芸である下駄を一本足にして特注で使用

これらのあくなき探求心で単なるオランダ人のモノマネではなく、自分独自の求める究極の走りを追求します。
『同じ体格ではないのに、オランダ人と同じポジションでやってもオランダ人には勝てないと言うのがあって……自己流のフォームに改善できたのかなと』 過去の自分のスタイルをゼロから再構築した小平選手は、このように技術面で徹底した進化を目指し不断の努力を重ねますが、それ以上に大きかったのは精神面・メンタル面の進化だったと私は思います。

小平奈緒選手の進化 メンタル面

これは私の想像であり推論にすぎませんが、小平選手はアドラーの言う彼女自身のライフスタイルの変革を行い、それによって新たな共同体感覚を身に着け大きく飛躍したのではないかと思います。
まず最も大切な自己概念を変えます。自己概念からメダルだとかオリンピックだとか順位、記録などの一切の概念を払拭します。彼女が再構築した新ライフスタイルは以下のようなものではなかったでしょうか?

《ライフスタイル 自己概念》

私の今の力でオランダ勢に対抗することは難しい。でも私はスケートが大好きだ。好きなスケートで自分の理想とする究極の滑りを実現する。メダルや順位や記録などはその副産物に過ぎない。
このように、まずは好きなスケートの極みを探求する求道者と自己概念を決定します。
『今を過ぎたものはそれに執着していては積み上がるものも積み上がらない。今が過ぎ去った瞬間に次の今に向けて高めていきたい』
(2017年10月インタビュー)
『世界で私が一番スケートが好きなんだっていうのを、体からあふれるくらい出していきたい』
(2017年12月インタビュー)
『私“小平奈緒”っていう生き方をしていきたいなと思っているので……
「永遠に生きるかのように学べ、明日死ぬかのように生きろ」っていう(ガンジーの)言葉があるんですけど、そういう言葉のようなシーズンを送れたらいいかなと』
(2017年4月会見)
『究極の滑りを目指して、その滑りをするために追い求めていく』
『勝つことよりも、自分の実力をしっかりと着実に上げることが大切になってくると思うので、0.1秒でも速い自分が、そこにあればいいのかなと思っています』 
(2018年1月平昌オリンピック前のインタビュー)

自己概念についてアドラーはこう言います。
『できない自分を責めている限り、永遠に幸せにはなれないだろう。今の自分を認める勇気を持つ者だけが、本当に強い人間になれるのだ』 小平選手は、順位やメダルにこだわる自分から、大好きなスケートの究極の滑りをあくなき挑戦で道を究めようとする情熱的で真摯な姿勢の求道者であるというような、もっと大きな自己像に描き直したのです。

《ライフスタイル 世界像》

彼女のソチ五輪当時の世界像は、強いオランダ勢へのライバル意識と、自分を応援してくれる相澤病院をはじめとする周囲の人たちの期待感でいっぱいだったと思います。
しかし4年の時を経て彼女の世界像は、オランダ勢や自分の支援者といった狭い世界の壁をぶち破り、もっと大きな世界像を描きます。彼女の発言からほとんどライバルの事や順位の事に関する話が姿を消します。
彼女が責任感の強い性格であったゆえに抱いていた“お世話になった皆さん方の為にメダルを取りたい”という自己理想を書き換えるのは大変であったと思われます。アドラー流の相当な“幸せになる勇気”が必要でした。
アドラーはこの観念を非常に簡単な表現で“課題の分離”と冷たく一刀両断しています。
『いまやろうとしていることは誰の課題なのかを自分で考え、もしもそれが他人の課題であれば、考えることを止める勇気を持たなければならない』 小平選手のメダルを期待して応援し、ダメだったらがっかりするのはその支援者の課題であって、小平選手の課題ではないという事です。ある意味冷たい言い方でありますが、上記で述べた“承認欲求”という他者の為に生きる観念から離脱する方法は、それは誰の課題なのか?をきちんと心の中で整理し“課題の分離”をしなければならないのです。
本編で例とした文学部受験志望の子が、親の期待に沿うよう医者になる為に医学部受験をするというのは、本来自分の課題を親の課題と混同するから発生する悲劇であるというのです。子供に期待し失望するのは親の課題であり子供本人の課題ではなく、親の課題は親自身で解決しなければならないと言うのがアドラーの取る立場です。
小平選手は、ライバルや支援者といった小さな世界からもっと大きな世界像を持ちます。世の中全体は自分にとって価値あるものであふれている。求道者である自分はその世界そのものから多くのモノを学べる。それは人だけではなくすべてのモノが私の教育者だ。そんな風に思っていた感じがします。
『相手(ライバル)は自分を高めてくれる存在と認識しながら、やるべきことに集中できるのがいい』
『ライバルは自分自身。過去にこだわるのも、足を引っ張るのも自分。自分というライバルを乗り越えていく』
(2017年11月新聞取材)
『与えられるものは有限、求めるものは無限』
(2017年4月)

そして彼女の抱く世界像は、時代を問わず過去のモノや自分の滑る氷にまで及びます。
『下駄で眠っていたものをシンプルに呼び起こす事できるようになったのかなと。日本の昔の人から学ぶことっていうのは、すごくたくさんあるんじゃないかなと思って』
『自分の氷としっかり対話して、とにかく自分の好きなようにこの氷を味わおうと思って滑りました』
(平昌オリンピック1000m銀メダル獲得後の会見)
『スケートを通して氷に呼びかけると、その声がちゃんと返ってくるっていうのがやっぱりスケートの楽しさだなと思っていて、やっぱり自分から一方的に押しつけるような声かけをすると全く返ってこないんですよね』
(平昌オリンピック500m金メダル獲得後の会見)

小平選手はこの世界は全て学びの対象である。ライバルもそう、日本の伝統工芸もそう、氷もそう、みんなスケートの究極を究めようとする自分の応援者なのだというような世界像を持って行くようになったのだと思います。
そして彼女はその世界のすべてに対してリスペクト(尊敬)して行くのです。
アドラー心理学では、ライバルは励みになるから良いものであると考えます。自分より優れたライバルを目指すとしても、上を目指すと言う感覚ではなく前に前進して行こうとする意識だと言っています。その関係は上と下との関係ではなく、横の関係で位置付けています。
このように、アドラーの心理学の世界では上下関係を否定し、全て横の関係と捉えます。
仕事の上下関係、親子の上下関係、夫婦の上下関係、男女の上下関係は本来存在せず、全て横の関係であると考えます。上を目指すとかではなく前に向かって進むと考え、対等である世界は全て自分と密接に関わり合い、多くの恩恵を享受できるとともに、自分は世界に貢献できるのが喜びであり本当の幸せにつながると言っています。
さらにアドラーはどんな人にも、それぞれの人生の課題というものがあり、年齢、性別、外見、経験、学歴などを問わず尊敬すべき存在であると言っており、どんな人でも「尊敬」という視点で見ることができると「敵」とは見えず、友や仲間と見えるのだと言っています。
『(尊敬とは)人間の姿をありのままに見て、その人が唯一無二の存在であることを知り、その人がその人らしく成長発展していけるよう気遣うことである』

《ライフスタイル 自己理想》

そして、小平選手は求道者だという確固たる自己概念と、尊敬の対象とみた世界像をベースに、自分の理想は金メダルを取る事でも、ライバルに勝つことでも、世界記録を出す事でも、さらには支援者を喜ばす事でもなく、自分の理想とする究極の滑りをする事。
そしてその究極の滑りをした時に自分で感じる素晴らしい景色を味わう事を自己理想に定めたのでしょう。その結果、メダルが取れたりライバルに勝てたり支援者に喜んでもらえたりすると悟ったのではないでしょうか?
『自分が選んだ道だから、失敗も成功だと思うっていう風に思ったときに、自分が行動に移すことそのものが、正しい自分の人生の道なのかなって』
『金メダルだったり、良い記録を出したことが、究極な滑りかっていうと多分そうではなくて、あのやっぱり氷とどんなやり取りができたかっていう自分の中にだけ残るものが、何かその新しい感覚であったり、もしかしたら新しい景色だったりっていう……なかなかその言葉では伝わらない、もう本当に皆さんに伝えたいくらいなんですけれども……それを何か表現できない楽しさっていうのが、究極の滑りなんじゃないかなと思っていて、それは今回の会場の雰囲気の中で、私が少し感じられたものでもあったかなと思います。ただそれがゴールだと思ってしまうと、また楽しさがなくなってしまうので、やはりまた新しい景色を見にいきたいっていう思いもあります』
(平昌オリンピック500m金メダル獲得後の会見)

このように小平選手は、ソチの屈辱から立ち直り、これまでの古いライフスタイルを新しいライフスタイルに書き換え、それをベースに新たな共同体感覚をもってこの4年間自己理想を目指して日々努力してきたのだと思います。

《共同体感覚 小平奈緒選手の自己受容・他者貢献・他者信頼》

彼女の新しいライフスタイルに基づいた共同体感覚は言うまでもありません。彼女の言葉の中の随所にしっかりと表れています。
『やはり気づきとか発見をしっかりとチームメイトで共有しながら、お互いに良いところ、悪い所を指摘し合いながら、なんて言うんですかね……自分たちの発見を伸ばしてきたというか、そういったところが学び合いや高め合いというところに繋がったのかなと思います』
『うーん、金メダルをもらうことはとても名誉なことですし、嬉しいことなんですけれども……メダルというモノよりも、私自身の中ではこのメダルを通してどういう人生を生きていくかということが大事になると思うので、メダルに対してどうという想いは無いですけれども……でも、メダルという形は周りのみなさんにとってすごく、私が戦ってきた証でもありますし、みなさんに支えて頂いた証でもありますので、はやくみなさんに見て頂きたいという思いのほうが強いです』
『「今の奈緒にしかできない役目だと思う」と言われた時に、もう一度主将として私が学べることは何だろうなということを考えた時に、やっぱり選手としてだけではなくて、将来に活きてくるな、ということをなんとなく想像できたので、そこは覚悟を持って引き受けて。その後はもう金メダルを獲れないというジンクスはあまり気にせずというか、気にならないくらい自分のやるべきことに集中できたのかなと思っています』
(主将は金メダルを獲れないという嫌なジンクスがあったが主将を引き受けたことに関して) 『(ライバルである)李相花選手に、たくさんのプレッシャーの中でよくやったね、と伝えました。リスペクトしているよと伝えました。人としてもスケート選手としてもすごく尊敬ができる友達です』
平昌五輪のプレ大会となった2月の世界距離別選手権で優勝した小平選手を見て、オランダでコーチを引き受けたティメルコーチもこう言います。
「あなたはもう猫じゃないわ。虎よ。頂点を楽しむのよ!」 
お世話になったティメルさん自身が驚くほどの成長ぶりを発揮し、彼女に対しても最大の恩返しをしたといえます。
まさに小平奈緒選手は、

・ありのままの自分を受容し、その自己概念を自らの不断の努力によって大いに高め、
・自分の周囲を取り巻くあらゆるものである世界(周囲)を学ぶ対象として信頼し尊敬し、
・自分の今できる最大限の力を発揮して、他者に貢献して行ったと言えるのではないかと思います。

小平選手の挑戦はまだまだ続くようです。今後の小平選手の生き方にも引き続き注目していきたいと思います。

次回は第3回【活用編】として
アドラー心理学活用による社員育成事例紹介
~小平奈緒選手の言葉から学ぶ社員育成~について、お話させて頂きます。
どうぞご期待ください。
※緑字は小平奈緒選手のインタビュー等の内容からの引用です ※青字はアルフレッド・アドラーの言葉からの引用です

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