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東京オリンピック後の景気低迷に備えて!中小食品製造業が2020年までに取り組むべき3つのポイント。

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2020年まではもちろん、その先を見据えた準備が必要

2020年といえば、そう。東京オリンピックですよね。国を挙げての一大イベントということで、たくさんの方が楽しみにされていることと思います。かく言う私も、スポーツ観戦が大好きなので、オリンピックが待ち遠しくて仕方ありません!

聞くところによると、2020年東京オリンピックの経済効果は、30兆円規模になるそうです。ものすごい経済効果ですよね。都市インフラの整備や、オリンピック関連業種の整備に巨額の資金が動くだけでなく、各国から数多くの外国人が訪れるため、観光業や宿泊業、運輸業、小売業なども大きな恩恵を受けることができるというのは想像に難くありません。

しかし、残念ながら、嬉しいことばかりではないんです。注意すべきは、オリンピックの開催後。実は、オリンピック後に景気が悪化する傾向がある、ということも、みなさんに知っておいていただきたいと思っています。

1964年に開催された東京オリンピック。その後に起きた「証券不況」は、高度経済成長期にあった日本に大きな打撃を与えることになりました。この不況が引き起こされた理由は、オリンピックの経済効果がなくなったことに加え、金融引き締めが重なり、企業業績が悪化したことにあります。これまで安泰と言われていた大手企業が次々と巨額の負債を抱え、倒産に追い込まれました。実は、オリンピック開催後に、景気が悪化した国というのは日本だけではありません。これまでの開催国において、オリンピック次年度の経済が大きく下降した例も数多く見受けられているんです。

東京オリンピックが開催される2020年――。開催年までは深刻な景気低迷はないだろうと言われていますが、2020年以降の市況がどのように変化するかは、まだ予想がついていません。

突然ですが、みなさんは以下の悩みを抱えていませんか?

□「市販用も業務用も年々利益率が低くなってきている・・・」
□「とはいえ製造部門からはもっと売ってこないと工場稼働率が上がらないと言われる・・・」
□「更なる値下げ交渉が・・・もうこれ以上、取引先からの要求に答えられない・・・」

これらの課題は、先行きが不透明な2020年以降に備え、それまでに解決しておくべき重要な課題です。今回は、私たち船井総合研究所が中小食品製造業の経営者の皆さまに提案させていただいている、2020年までに取り組みたい3つのポイントについてお伝えしようと思います。

今後の持続的成長に欠かせない、3つのポイント

1.収益性重視のビジネスへの転換
2.販促・営業・情報発信の脱紙化・脱ヒト化
3.優秀人材の確保と定着化

上記のポイントについて、解説して行きます。

そもそも流通構造自体が「儲かりにくい」構造になっている!?

まず一つ目の収益性重視のビジネスへの転換について。
そもそも国内の食品製造業は他国と比べ営業利益率が低い業界です。食品需要研究センターの「食品企業財務動向調査」によると、年商10億円以下の食品製造業の営業利益率はイギリス11.5%、オランダ10.1%、フランス16.0%の中、日本は5%強しかありません。この低い水準である利益率は何も中小メーカーに限ったことではなく、大手メーカーも販売先から求められるリベート等により全く同じ状況なのが国内の食品流通市場の特徴です。

また2020年に本格稼働する予定の「食品表示法」の改定により、小売PB市場に大きな変化をもたらすことになります。また今後も更なる小売業界や流通業界の再編も予想されます。

このような状況の中、食品製造業として今後も既存のビジネスモデルでその後、10年、20年先も持続的成長が見込めるのかを今の時期に見直して頂きたいのです。

ビジネスモデルを見直すキーワードは、

1.収益性重視のモデルかどうか?
2.時流適応業態への転換or付加

の2つのキーワードです。

特に中小メーカーにおいては売上高を追求する時代は終わり、売上総利益や営業利益率を意識した「収益性重視」のビジネスモデルへ展開していくことが求められています。

もう一つのキーワードは「時流適応」です。アメリカの経営学者フィリップ・コトラー氏が16年秋の講演で、日本の新たな成長産業として、
1.ロボティクス
2.IoT(Internet of Things=物のインターネット化)
3.観光業
と言っています。

メーカーにとっては3つめの観光業へのチャレンジは必須でしょう。
外国人観光客の取り込み等、いわゆる「インバウンド」の影に隠れていますが、国内旅行市場も拡大中、団体から個人旅行へシフトしている今、旅行客が求める「食べる」や「買う」のニーズも大きく変化しています。この変化に対応し、観光地への直売店出店や、新しい工場の建設の際に観光エリアへ建設などの動きも加速していくでしょう。

他の時流適応としては、時短や食糧廃棄物問題による冷凍食品市場・フリーズドライ市場も加速していくことが予想されています。

侮ってはいけない、「ソーシャルメディア」の絶大な力

2つめの「販促・営業・情報発信の脱紙化・脱ヒト化」についてですが、WEBと言っても消費者向けのネット通販だけではなく、メーカーとして情報発信やリテイルサポートだけでもありません。
BtoBビジネスの新規案件の獲得にもFBやインスタグラムなどSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が活用されてきています。

日本国内のSNS利用者数は17年には6,900万人を超えると予測されています。今後もスマートフォーンの普及により更にWEBの重要性が増してくるのは間違いありません。

また、直売事業のBtoCビジネスについても、今までは折込チラシやダイレクトメールが一般的でしたが、これからはWEB集客時代に本格突入です。
現にフェイスブックやツィッター、LINEなどSNSを活用しローコストで客数アップを実現している事例や人口20万人足らずの地方都市でバースディケーキ予約サイトが、WEB予約だけで年間1,000万円近くの受注という事例も出てきています。

ツィッターをスタートし、たった4か月でSNS上で口コミを誘発させ、実店舗の売上を130%以上アップさせている弊社会員企業も存在します。

このように今後もWEBを活用した成功事例は今後もどんどん出てくるでしょう。紙媒体の代表格である新聞が近い将来姿を消す・・・との話も軽視できません。

最後に3つめの「優秀人材の確保と定着化」について。

2025年には国内総人口が1.1億人、うち15歳〜64歳までの労働人口が7,000万人、高齢者人口3,500万人となり、人口の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上になると予想されています。食品業界に限らず雇用の確保が持続的成長においてキーポイントになるのは間違いありません。
有効求人倍率が1倍を超え、最低賃金が高くなり続けている中、労働力安定確保の為に、ベトナムやミャンマーなどからの研修生受け入れを積極的に進めている企業も出てきています。

優秀な人材を採用し、定着させることが不可欠

人材面において特に重要なことは、「優秀な人材を採用し、定着率を高めること」です。労働力はロボット化、AI化などで脱職人化し、省人化していくでしょうが、この技術発達を現場に落とし込める人材をどう確保し、育成していくか。またそのような人材の離職率を低くおさえるためにも報酬や労働条件等も働き方改革も同時に進めていかないとなりません。

人材育成のコツは「採用70%、教育30%」と言われているように採用時点で優秀な人材を集めることができるかどうかがポイントです。

大学芋のNO1シェアの白ハト食品工業(本社守口市)では、10年以上前から毎年新卒採用を行っていますが、毎年2,000人程度のエントリー数だったのが、
2016年4月採用から白ハト食品工業の企業ビジョンとして、「日本の農業をステキにする」というコンセプトを明確に打ちだし、六次産業化の実現を目指す会社であることを強く発信したことで、16年4月入社の採用のエントリー者数が約8,000人と急増しました。

「農業」という国家的課題に取り組む企業であることを発信したことにより、人や地域などの役に立つ仕事がしたいという価値観を持つ学生からのエントリーが急激に増えたのです。

価値観の多様性が進み、単に労働条件や職種で選択するのではなく、その企業が何を大切にし、何に貢献していく企業なのかを見定める学生が多くなってきている一例です。

リクルーティングの媒体や方法の変化に対応することはもちろんのことですが、自社が何を大切にしている会社でこれから何を目指していくのか?ここを採用時点で伝えていくことが新卒に限らず、中途採用においても優秀な人材の育成の第一歩となります。

以上、中小食品製造業が2020年までに取り組むべきことを3点に絞りお伝えしてきましたが、2020年東京オリンピック以降が不透明な中、この3年の取組が今後の持続的成長に大きく影響を及ぼすことは間違いありません。

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株式会社船井総合研究所 フードビジネス支援部
メーカー・フードビジネスグループ グループマネージャー
上席コンサルタント 花岡 良輔

「中小食品メーカーが3年3倍になるブランド化戦略」をコンサルティングテーマに活動し、数々のヒット商品を世に送り出している。小売店・消費者の意見とトップの想いを融合させるその独自の ノウハウは船井総研でも定評がある。

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